保坂和志さんの『書きあぐねている人のための小説入門』を読んで

本が好き、読書が好き。読んだ本の感想などをゆる〜く語ります。
今回ご紹介する本は、保坂和志さんの『書きあぐねている人のための小説入門』です。

わたしは「書きあぐねている人」ではなく「読みあぐねている人」なのですが
思わぬ学びがありました。

*「小説」と「小説以外(評論、エッセイ、実用書など)」の読み方は別物だと思うので
今回は「本」ではなく「小説」と書きます。

小説を読む意味はどこにあるのか

マジメなわたしが1冊の小説をマジメに読みおわって
「はて。なにが言いたいのかよく分からなかった」ということがよくあります。

律儀に読み返してみても、やっぱり同じです。

マジメなわたしは「小説を読む意味はどこにあるのか」としょっちゅう悩んでいました。

書きあぐねている人のための小説入門

保坂和志さんは小説家で、小説を読む醍醐味についてあれこれ語ったり、思考法の講座を開催したりもされています。
「小説を読む意味はどこにあるのか」ということを考えていて、たまたまこの本が目についたのでKindleで読んでみました。

結果、とてもよかった。わりと序盤で腑に落ちました。

哲学書はそれらが俯瞰できない対象だからこそ思索する。それゆえ、思索に費やしたプロセスの全体しか”答え”にならない。

モデル化はすでに俯瞰なのだから、俯瞰できない対象を俯瞰せずに思索したプロセスの全体をわかるはずがない。

『書きあぐねている人のための小説入門』 保坂和志著 中公文庫 2008年

1つめはわかるけど、2つめは難解すぎます。
だけど保坂さんが「ここ大切」と書いていたので、何度も読んで考えてみました。

・小説も哲学書と同じように俯瞰できないもの

・小説は「こういう本」と簡潔に言い表せないもの

・小説を読む=思索するプロセスそのもの

こういうことかなと解釈しました。

俯瞰するな、思索せよ

わたしはすこし前まで、ミステリー小説のような”続きが気になる”ストーリー小説を、速く、たくさん、読みたい読者でした。

ですが最近は、ストーリーのない小説をゆっくり読むほうが好きです。
この本を読みおえたいま、ベケットの『モロイ』に再挑戦する意欲がわいてきました。

俯瞰するな、思索せよ」

この学びを心にとどめて、これからは今までと違う視点で小説を楽しみたいと思います。

この本は「書きあぐねている人」だけでなく、クリエイティブな発想にも役立ちます。表現に関わる分野を仕事にしている人にもおすすめしたい良書です。

タグ: