続けるのが苦手でも、無駄はひとつもなかった。デジタル×マーケティングで仕事の幅が広がった

興味が移りやすくて、続けるのが苦手だったわたし。でも振り返ってみると、そのすべてが今の仕事につながっていました。アナログ営業からはじまり、今ではデジタルとマーケティングを仕事に。点と点がつながった道のりを振り返ります。

続けるのが苦手でも、無駄はひとつもなかった

2025年3月のデジタルスキルセミナーで登壇したときにお話しした内容を加筆修正して、改めてまとめてみました。

じつは、わたしは続けるのが苦手で、興味がコロコロ変わるタイプです。
でも、その「続けられなかった過去」を振り返ると、実はそのすべてが今の自分にしっかりとつながっていた——

「まさか自分が、デジタルを仕事にするなんて」

最初の仕事は、不動産の営業でした。
飛び込み営業やチラシ配布など、完全にアナログな世界。
約10年間、その現場で泥臭くマーケティングをしてきました。

ただ、そんな中でも少しずつ、デジタルの力を感じる瞬間がありました。
YouTubeやポータルサイトを使って物件を紹介したり、情報を発信したり。
当時は「これもやらなきゃな」くらいの感覚だったけれど、今思えば、あれがデジタルとの出会いでした。

転機は、ECサイトとの出会い

そんなわたしが「デジタルって楽しいかも」と感じたのは、7年ほど前。
ECサイトの運用を始めたのがきっかけでした。

当時、Canvaに出会って、夢中になってバナーやパッケージのデザインをしていました。
「なにこれ、楽しい!」と、気づけば副業としてデザインの仕事も引き受けるようになっていました。

フリーランスという働き方

今はフリーランスとして、デザインやマーケティングの仕事をしています。
それに加えて、職業訓練校で講師をしたり、地域のデジタルサロンでコーディネーターとして活動したり。
気づけば、仕事の幅がどんどん広がっていました。

マーケティングも、講師の仕事も、どこかで「ちゃんと勉強したから」ではありません。
フリーランスとして現場に立ち続け、実践の中で学びながら、自分なりにやってきた結果。
遠回りに見えた経験も、いまではぜんぶ“つながっている”と感じます。

でも、「デザインが好き」という気持ちだけでは、仕事にはなりにくい。
そこに「どう届けるか」「誰に伝えるのか」という視点——つまりマーケティングの考え方が加わって、初めて“届くデザイン”になることに気づきました。
この視点が持てるようになってから、講師として人に教える仕事にもつながっていきました。

アナログとデジタル、両方の視点があるからこそ

自分の強みは、アナログとデジタル、どちらのマーケティングにも関わってきたことだと思っています。

アナログの良さは、「人と直接つながる力」。
一方で、デジタルには「より多くの人に届けられる」という可能性があります。

SNSやWebがあるからこそ、今まで接点のなかった人にも出会えたり、関係が一度きりで終わらず、長く続いていくこともあります。
どちらにも、それぞれの良さがある。
だからわたしは、アナログとデジタルを組み合わせたマーケティングが好きです。

「わたしで役に立てることがあるなら」

地域のデジタル人材育成チームに参加することになったときのこと。

「デジタルを通じて、働く選択肢を増やしたい」
そんな想いから生まれたのが、地域のデジタル人材育成拠点『おしごとハブ』です。

「おしごとハブ」との出会い

わたしがこのプロジェクトに関わり始めたのは、知人からの紹介がきっかけでした。
当時、わたしはフリーランスデザイナーとして駆け出しの頃で、「もっと現場を見て学びたい」という思いから、実際に関わってみることにしたのです。

ここは、女性たちがデジタルスキルを学び、実践を通じて自分らしい働き方を見つけるための場所。
立ち上げたのは、株式会社ウェブサイト代表の柳本明子さん。
自身のシングルマザーとしての経験をもとに、「月に3万円でも4万円でも手取りが増えれば、生活も気持ちも変わる」と、等身大の課題感を出発点にスタートしたプロジェクトです。

ゆるやかな始まりから、地域とのつながりへ

最初のころは、なんとなく集まって、ちょっとしたお仕事体験をさせてもらったり、作品を見せ合ったり——そんな、ゆるやかな交流の期間がしばらく続きました。

そのうちに、「せっかくだから、一般の人も含めて、みんなで学べる機会をつくってみよう」と話がまとまり、初めてのセミナーが実現。
ここが、今につながる大きな一歩になりました。

デジタルサロンの誕生

セミナーはありがたいことに好評で、「またやってほしい」という声をきっかけに、定期的な『デジタルサロン』がスタート。
並行して、「インスタの運用、誰かにお願いしたくて……」というようなリアルな相談が持ち込まれるようになり、気づけば、実際のお仕事としてプロジェクトが動きはじめていました。

わたしも、いつの間にか講師のひとりとしてセミナーを担当させてもらうようになり、自分のスキルが誰かの役に立つ——そんな体験の積み重ねが、じわじわと自信へと変わっていきました。

わたしたちらしい、活動のかたち

現在では、定期的にメンバーが集まる『デジタルサロン』を中心に、学び合いや情報交換が続いています。
仕事は基本的に柳本さんが持ってきてくれる形ですが、メンバーそれぞれもここでの経験を活かして、個人でセミナーを開催したり、別の案件を受けたりと、少しずつ活動の幅が広がってきました。

わたしも、ほんのちょっと前までは“教わる側”でした。
だからこそ、これから誰かが一歩を踏み出すとき、すこしだけ背中を押せる存在でありたいと思っています。

「わたしで役に立てることがあるなら」
そんな気持ちで飛び込んだ場所が、気づけば、自分自身にとっても大きな学びの場になっていました。

「続けられなかった自分」も、ちゃんと意味があった

冒頭にもお話したとおり、わたしは飽きっぽくて、いろんなことを続けられなかったタイプです。
でも、今振り返ってみると、そのときどきに経験してきたことが、全部つながっている。
ひとつも無駄じゃなかったと思います。

好きなことをやってきた。うまくいかなかったこともある。
けど、その“点”が、いつの間にか“線”になって、今の働き方になった。
そうやって、今のわたしがあるんだと思っています。

photo by: 半田 孝輔(エディター/ライター)

▼ こちらから半田さんが書いてくださった「おしごとハブ」の記事をチェック!
https://note.com/jimomiyabito/n/n8877584a8adc